ひとまず、終演のご挨拶

ブログでのご挨拶をしていなかったことに気付いて、ひとまず。

くちびるに硫酸「あの星にとどかない」、先月19日をもちまして終演いたしました。
お客様、関係者各位、どうもありがとうございました。

人の縁とビギナーズラックに助けられた公演でした。
決して集客数の多い公演ではありませんでしたが、
アンケートやTwitterなんかでも大変ご好評を頂き、
今回ご一緒した人とはまたやりたいな、と、思えたので、ひとまず公演は成功と位置付けてよいかな、と。

あんまり精力的に演劇をする人/観る人ってわけでもないのですが、それでもゆるゆる続けられたらいいな、と思います。
皆様本当にありがとうございました。

とりあえず水野個人としては、年内に次のお芝居に関わることが決まってます。
別のユニットに呼んでいただいていて、スタッフをやります。
そちらの告知は、情報解禁次第、追々。

キスのお作法

書架にまだ少女の残り香 きみたちも「女生徒」だけは読むべきでない

冴えわたるかたくなな海 水温が君の左の手のようだった

指先が冷えきる三秒前 君のシャツの匂いを思い浮かべた

お利口にほどいた髪にうつりこむ月虹 ぼくらのさかいめになる

ねえ先生、キスのお作法覚えたらわたしもチュッパチャプスになれる?

ふるきずを舐め合うような恋をする。
遠雷。
あたし花火になろう。

(流したもの改作)

***

秋、羽毛布団を出した
(あたし、今、あなたのために鳴きたい小鳥)

***

あたしが、あなた、と言い出したときは、
大体好きな人に会って話せないようなことをしゃべってる、

色ぼけてるでしょう。
そんなものなんです。
単純。

でこぴんはあざといわよ。

「ベネトンのコンドームって、ださい」って笑ってきみは月まで跳ねて

雨の特異日

ろくがつにじゅうはちにちは 雨の特異日 なのです
と、
嘘のような夢のような言葉。
滞りなく流れるFMラジオの当たり障りのないことばの清流の中から、こぼれ落ちた、青いキャンディのようなその言葉を、
わたしは口の中で転がして味わって、
ベッドの上で天井を見つめてみる。

天井越しに見えるのは、
くちなしの白い花を枯らしてゆく
酸性の雨滴。

交叉点に充ち満ちたあの危うくはかない白い花の香りは、
少女だった頃のつま先立ちの記憶を呼んで、
しかしはたして、
わたしに少女だった頃があっただろうか。

14のおわりにおとしてしまった純潔と、
16のはじめになくしてしまった潔白と。
女という性がわたしの心臓に肺に脳髄にじわじわと黒く根を張るように育っていると自覚してしまったあのとき、
きっとわたし、
疾うに少女ではなかった。

(それでも、あのひとよりもうつくしい名前を持つ男の人をわたしは知らない)

効きすぎたエアコンを消して、
わたしは服を脱ぐ、
ありふれた香水を足首にまとわせる。
嫉妬の名を持つその香りは、
かあさんがつかっていた武器。
醜いわたしには不似合いな、
だけど、
その香水、似合うよと、
一言嘘をついてくだすったら、
わたしはほかになんにもいらないの。

花腐す雨滴、
少女の笑い声のようにころころと耳障りに、窓に張り付いて転がっている。

少女でいられなかった私を弔うように、
ろくがつにじゅうはちにちは 雨の特異日 。

におう死の真昏き海に游ぐ子ら今宵の月を宿し眠れよ