0410

肉体があって、わたしがここにあって、折々の抜け殻として、文字の羅列を残す。

なんてことのない日常の営みとして。

肉体を伴わない言葉はないけど、つたないなりに体温を感じる言葉を残そうと思う。

当然、人肌の生あたたかさを孕んだ言葉なんて偏りそのもので、誰かの明確な救いにもなるんだろうし、一種のグロテスクでもある。

せめてその偏りが明快であれと思う。

わたしはとんでもなくずるく弱い生き物だし、ずっと不確かに漂流しながら、間違いばかりして、人を傷つけながら生きているけど、

言葉ぐらいは、その精一杯の虚勢として、なるべく媚びず、阿らず、立って誰かに手を差し伸べようともがくようなものを並べたい。

けれどそれだって、傷つけてきた誰かへのせめてもの言い訳であり、なんとかして格好つけたい自分への償いなのだと思う。

わたしが書いているのはいつも、回りくどく謝るための言葉だ。

謝ることができない大人にはなるまいというのが信条だけど、

最近は何度も筆を置いて、一向に、言い訳も謝る言葉も浮かばない。

時間だけは有り余っているはずなのに、なんの空想も浮かばなくなってしまい、

どう表現していいかわからないけど、イマジナリーフレンドを亡くしたようなスランプ加減だ。

ついに筆を折ろうかとさえ思った。

立ち現れた現実は私たちを進行形で打ちのめし続けていて、こういうときに、生ぬるい気持ちで誰かに寄り添っているふりをするのは、普段以上に、とても醜悪だと思う。

なんのために書いているのか自問自答を始めて、落ち込んで、逃げて、自傷じみた無益な一人問答を繰り返している。

だからこそ、なにか書かねばならないときでもあるのかもしれないけれど。

80まで何かを生み続けることが目標、と言ってしまったからには、意地で続けなければならない、と、確信めいたものはあるけれど。

そうして、こうやって、眠れない夜にブログぐらいは書く気になったらしいけれど。

やれるのかどうか、まだ自信はないまま。

そういえば、爪先立ちが似合わない歳になったよな、と思う。

もっとも、かろやかにつまさきで跳ねる少女だったころなんて、私にはなかったし、裸足を地面につけて、一歩ずつ進む以外に道はないんだろう、

これまでもこれからも。